韋駄天ファミリーBlog

韋駄天ランニングアカデミーが目指す“もの”は!? 目的と理由

心身が喜ぶツールであるランニングがもたらす元気な社会

皆さん、こんにちは!筑波大学箱根駅伝復活プロジェクトを推進している弘山勉と申します。私から投稿する最初のブログとして、「韋駄天ランニングアカデミー」を立ち上げる目的と理由について、簡単に書いてみたいと思います。
人間の心とカラダに良いことをもたらすランニングを正しく普及させていきながら、社会や地域に貢献できるアカデミー組織として活動していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

 

ランニングは人間の進化を支えた行動ツール

二足歩行は人類の進化に絶大な影響をもたらし、さらに走ることを覚えたヒトは機動力を備え、頭を使って狩猟をレベルアップさせて繁栄してきたとされる。つまり、ランニングが、脳や身体機能を劇的に発展させながら進化を遂げてきたのが人間である。

ランニングは、現代においても、人間のカラダの機能と密接に係わっており、子どもの発育発達やジュニア期の成長、大人になってからの健康維持に欠かすことのできない代表的な有酸素運動である。

このことは、何万年もの間に渡って営まれてきたヒトの生命機能に刻まれたカラダの仕組みと考えると、進化を遂げた人間であっても、走るという行為にカラダは喜ぶ。カラダが良い反応をするということだ。

ランニングは人間のパワーアップのスイッチ

「ランニングは脳を研ぎ澄ます」ことに着目し、ランニングの実践を自身の創造(想像)活動に活かす人は多い。狩猟時代に埋め込まれたDNAなのかもしれないが、ランニングによってスイッチが入った脳は活性し、勉強や仕事への臨戦態勢が整うというのが研究者の弁である。

走る爽快感は、ストレス解消を促す。それどころか、「ストレスで傷ついた脳を修復する機能まで人間には備わる」とまで言われている。ランニングは人間であることを感じさせる「心身を喜ばせる生きるツール」なのである。

ランニングの日常化は、当たり前のように、ワークライフバランスを整え、健康増進に貢献する。ランニングブームの持続が、その証と言えるのではないだろうか。利点を感じられない行為に継続はありえないとすると、ランニングが自身に恩恵をもたらすことを実感していることになる。

ランニングのパフォーマンス向上がフージョン(融合)と喜びを拡大させる

ランニング人口の増加は、「日本マラソン界の世界的な活躍」「国民的スポーツと化している駅伝の盛り上がり」「市民マラソンの発展」「都市型マラソンの人気」なども背景にある。東京マラソンのディレクター早野忠昭氏が提唱してきたフージョン・ランニング(ランニングと何かを融合させて楽しむライフスタイルの創造)の浸透も要因として挙げられるだろう。

しかし、ランニングと共に何かを楽しむためには、その行動の中心にあるランニングそのものが楽しくなければならない。そう、走りのパフォーマンス(走力)が向上していくことがポイントになるはずだ。ランニングのパフォーマンス(走りの質やタイム)の満足度が高いほど、ランニングに付帯する余暇の楽しみが増幅するのは当然の摂理(心理)だからだ。

「正しい知識に裏付けされた安心安全なランニング」と「正しい理論に基づいたランニングのパフォーマンスアップアップ」がワークライフバランスを構成する要素それぞれの質を高めながら整えられるはずである。つまりは、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に繋がり、人生の謳歌に辿り着くと言及しても言い過ぎではあるまい。。

世の中を元気にするランニングの普及活動

金栗四三は、100年近くも前に、自らがマラソンで世界を目指し、引退すると後輩の指導にあたり、ランニングの普及に奔走した。マスコミとタイアップしてランニングイベントを次々と創り上げていった。

その狙いは、ランニングの人気を高めるとともに、日本マラソンを牽引するアスリートが必要であるとの認識であったからだ。つまり、その眼は、一般人の健康ランニング、女性のスポーツ進出といった「スポーツ(ランニング)の奨めと健康社会の形成」に向いていたに違いない。

現在、世の中は、人工知能の支配と自動化の波が押し寄せている。便利な世の中というのは聞こえが良いだけで、人間の退化が危ぶまれていると思うのは私だけではないはずだ。少子化も相まってスポーツ人口の減少にも歯止めがかからず、スポーツ文化の衰退も危惧されている。

だからこそ、手軽さにおいて最たるスポーツとして、ランニングの推奨は理にかなっており、ランニング関連事業が発展してきた経緯も繁栄の事実にも納得できるものがある。その流れに乗ってランニングの魅力に引き込まれる人が増えてきたとしたら、金栗四三の喜ぶ顔が浮かんでくるというものだ。

金栗四三氏(写真:熊本県 / 玉名市)

 

世の中を元気にするランニングの普及活動

私たちが、韋駄天ランニングアカデミーを立ち上げるのは、100年前の金栗四三に習って、「ジュニアアスリートやトップ選手の育成」「ランニングの普及と社会・地域活性」「健康運動・持続社会」の実現に向けて、社会に貢献することを目指していきたいからです。金栗四三の後輩だからという立場(=筑波大学箱根駅伝復活プロジェクトのミッションでもあるから)として、知財を有する大学として、大学のある街として、社会に貢献したい者の集まりとして、賛同いただく多くの方々と韋駄天ファミリーの形成が、可能性を大きなものへと引き上げてくれると思っています。

新しいかたちとして、正しい理論を伝えるための仕組みを構築しながら、ランニング関連のアカデミー事業、社会貢献プロジェクト事業、市民マラソン連携事業、研究開発事業、調査研究などを担っていくつもりです。

個人の力では、何もできません。参画いただける方々と共に、明るい未来・元気な社会の創造に貢献していきたいと思います。


筑波大学 准教授 弘山 勉
筑波大学箱根駅伝復活プロジェクト推進リーダー


 

この記事を書いた人
弘山 勉
 高校から陸上競技を始め、筑波大学時代に箱根駅伝に4回出場。実業団チームに進んでからは 独学で福岡国際マラソン2位の成績を収めた。  指導者になってからも理論を追求するスタイルを貫いている。オリンピック3大会連続の日本代表選手となった妻・弘山晴美を指導し、2015年に男子駅伝監督に就任した筑波大学で、2019年に箱根駅伝予選突破を果たし母校を26年ぶりの本戦出場へ導くなど、そのメソッドには確かなものがある。  豊富な知識と経験を基に、アスリートだけではなく、市民ランナーへのサービスも充実させていきたいと語る。韋駄天ランニングアカデミーは、その取り組みの一つ。主な著書に『最高の走り方』(小学館)、『限界突破のランニングフォーム』(KADOKAWA)がある。

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