コラム

目指せ!!「Running Town」

豊かに生きるということ

厚生労働省の発表によると2021年の我が国の平均寿命は、新型コロナウィルス感染症という未知のものとの戦いの中においても、男性81.47才、女性87.57才と高い値をを示しています(令和3年簡易生命表)。
このような人生の長寿化に伴い、ひとりひとりがどれだけ人間らしい、自分らしい生活を送り、その中でいかに幸福を見出せるかを問う「Quality of Life=生活の質(QOL)」という言葉を耳にするようになりました。そして、その生活の質の向上、すなわち、より「豊かに生きる」ことが、私たちの暮らしにおける目指すものの一つとなり、その重要性は、Withコロナという新しい生活スタイルにおいてますます高まっていくことが想像できます。

皆さんは、この「豊かに生きる」という言葉にどのようなイメージを持たれるでしょうか? お金に余裕があり、欲しいものがいつでも手に入る不自由のない暮らしをイメージする方もおられるでしょう。あるいは、お金やものではなく、やりがいのある仕事や趣味にひたすら没頭する時間や家族と楽しく過ごす時間が十分に満たされている暮らしをイメージされる方もおられると思います。

このように、「豊か」とは「何かが十分に満ち足りた状態」を表すものと考えられますが、その「何か」は、個々の価値観に基づく、物質的、精神的を問わない多様なものであり、人それぞれで良いものだと言えます。だだし、それが満たされた先には、世界保健機構(WHO)憲章の前文で示されている「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(日本WHO協会訳)」が繋がっていなければいけないと思います。

つまり、豊かに生きるということは、肉体的、精神的、社会的全てに満たされた先にあるWell-Being(幸福感)を創造し、高めて行くことであると言えるのではないでしょうか。

 

「健康・楽しみ・交流」を生み出すスポーツの力

肉体的に満たされず、健康に不安があると活動的な生活ができませんし、活動的でなくなると仕事や趣味にもやりがいや楽しみを感じにくくなり、精神的な余裕が持てなくなります。さらに、仕事や趣味に積極的に取り組めなくなると人との交流機会が減り、社会的なつながりも希薄となってしまいます。このように、肉体的、精神的、社会的全てに満たされ、豊かに生きるためには、①健康、②楽しみ、③交流の3要素が必須条件であるといえます。

一方で、私たちのスポーツへの関わり方には、主に「する」、「みる」、「ささえる」の3つがあります。スポーツを「する」ことによって、体力に余裕が生まれ健康に繋がり、仲間と協力して目標を達成する喜びや一体感も生まれるのではないでしょうか。スポーツを「みる」ことでは、素晴らしいパフォーマンスに対する感動、ひいきのチームを仲間と一緒に応援する一体感が生まれるでしょう。また、地域のマラソン大会などスポーツイベントのボランティアに参加し、「ささえる」スポーツを実感することによって、自分たちが地域に貢献しているという誇りやささえる人たちとの間の交流が生まれることも期待できます。こうして考えると、スポーツは「する・みる・ささえる」など関わり方には関係なく、豊かに生きるための「健康・楽しみ・交流」の3要素を生み出す力を持っていると言えるのではないでしょうか。冒頭に書いたように、私たちの人生は80年を超えるものとなり、当然趣味に費やせる余暇時間も増えました。その余暇時間を充実させ、長く豊かに生きるためにスポーツの持つ「健康・楽しみ・交流」を生み出す力は重要です。だからこそ、いつでも、どこでも、だれでも、いろんな形でスポーツが持つ力を活用できる、生活の中にあたりまえのようにスポーツがある環境つくりが必要ではないかと考えます。

 

韋駄天ランニングアカデミーが目指す「Running Town」

筑波大学があるつくば市や近隣の土浦市、かすみがうら市は、参加者数ランキングで常に上位に入るつくばマラソン、かすみがうらマラソンという2つの人気市民マラソンが開催されています。加えて、芝生広場や気軽にウォーキングやジョギングが出来る公園やランニングコースも整備され、ランニングをする、マラソン大会をみる、ささえる、どのような関わり方に限らず、ランニングを通して、いつでも、どこでも、だれでも、好きな形でスポーツが持つ力を活用できる環境が整っていると言えます。

韋駄天ランニングアカデミーは、筑波大学男子駅伝チームの学生が主体となり自身の競技活動で得た知識・経験を活かし、大学と地域の協働作業によるランニングを通した人々の豊かな暮らしづくりに貢献することを目標としています。その活動の一つとして、このようなランニング環境を利用し、いつでも、どこでも、だれでも、思わず走りたくなるような環境=「Running Town」つくりに取り組んでいきたいと考えています。

 

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この記事を書いた人
木路 コーチ
20年間、自身の競技と指導活動で大塚製薬陸上部にお世話になったのち、筑波大学大学院のスポーツマネジメント領域に進学し、高度競技マネジメントの研究に携わり、現在、大学生の長距離指導者としての人生を歩んでいます。 専門分野としては、コーチング学(目標論、方法論、評価論)とスポーツマネジメント学(組織論、強化システム論、企業スポーツ論、地域スポーツ論)となりますが、そんな堅苦しいことではなく、自分を育ててくれた「ランニング」で得たものを使って、何かしらの恩返しができれば良いと思っています。よろしくお願いいたします。

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